コウモリ駆除は、適切な方法とタイミングで実施すれば効果的に行うことができますが、個人での対応が難しい場合は、専門業者に依頼して確実な駆除を行いましょう。個人で行う場合、ひっかき傷や接触により、重大な感染症を引き起こす可能性が高いので、業者に依頼することを強くおすすめいたします。
1. コウモリ駆除の必要性と法律的な注意点
日本国内で頻繁に見かけるコウモリは、実は「鳥獣保護法」によって厳しく保護されています。この法律は、コウモリを含む野生の動物を無断で捕獲したり、傷つけたりすることを禁じています。違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。したがって、コウモリの駆除を行う際には「捕獲」や「殺傷」を避け、追い出しや防除の方法を使用することが重要です。
コウモリは家に侵入するだけでなく、長期間にわたり住みつくことで様々な問題を引き起こします。例えば、コウモリの糞や尿による建物へのダメージ、衛生面での問題、さらには健康被害などが報告されています。これらの理由から、コウモリが住みついている場合は、早急に適切な対策を取る必要があります。
2. コウモリの生態と住みつきやすい場所の特徴
コウモリが家に侵入して住み着くケースは珍しくなく、特にアブラコウモリという種類が人間の生活圏に多く見られます。アブラコウモリは非常に小型で、体長はわずか5~6センチメートル程度。体重も約5~10グラムと非常に軽いため、1~2センチメートル程度のわずかな隙間からでも簡単に侵入してきます。家屋内では、主に屋根裏や換気口、シャッターの中、エアコン室外機の裏など、外敵から身を守りやすい狭い場所に巣を作ります。
また、コウモリは夜行性のため、日中は静かにしていることが多く、夕方から夜にかけて活発に活動します。彼らの主食は主に蚊や蛾、ハエなどの昆虫ですが、時には果物や野菜も食べることがあります。冬季(11月から3月)は冬眠に入り、その間は活動が鈍くなりますが、春になると再び活動を開始します。特に繁殖期である初夏には、メスが1回に1~3匹の子供を産むため、この時期の駆除は慎重に行う必要があります。
3. 自分でできるコウモリ駆除の具体的な方法
1. コウモリがいる場所の見つけ方
まず、コウモリがどこに住み着いているかを特定することが重要です。コウモリが侵入しやすい場所としては、以下のようなポイントが挙げられます。
- 屋根裏や瓦の下
- 通気口や換気口の隙間
- エアコンの配管や室外機の裏
- シャッターや雨戸の隙間
特に、コウモリの糞が落ちている場所は巣がある可能性が高いです。コウモリの糞は細長く、乾燥していて、パサパサと崩れやすい特徴があります。家の周りや天井裏などを注意深く確認しましょう。
2. 忌避剤を使ったコウモリ追い出し
コウモリの捕獲は法律で禁止されているため、追い出す方法を選ぶ必要があります。効果的な手段としては、市販の忌避剤を使用する方法が挙げられます。以下の方法を試してみましょう。
- スプレータイプの忌避剤
ハッカ成分を含むスプレーは、コウモリが嫌がる匂いを発し、即効性があります。ただし、効果は短期間(3~6時間程度)であるため、侵入口を速やかにふさぐ必要があります。 - ジェルタイプの忌避剤
ジェルタイプの忌避剤は、長期間(1年程度)の効果が期待でき、巣穴に設置することでコウモリを追い出します。設置場所によっては、トレイや吊り下げて使うことも可能です。 - 燻煙タイプの忌避剤
広範囲にわたって効果を発揮する燻煙タイプは、特に屋根裏や床下など広い空間に住みついたコウモリに有効です。煙がコウモリの巣穴にまで届き、強い忌避効果を発揮します。
3. 再侵入を防ぐための対策
コウモリを追い出した後は、再び侵入されないようにすることが不可欠です。以下の方法で確実に侵入経路をふさぎましょう。
- 金網やパンチングメタルを使用する
換気口や通気口には、目の細かい金網を設置し、空気の流れを確保しつつコウモリの侵入を防ぎます。 - シーリング材やパテで隙間を埋める
屋根や壁の隙間にはシーリング材を使い、しっかりと密閉します。特に瓦の隙間やエアコン配管周りは重点的に対策を施しましょう。
4. コウモリが引き起こす健康リスク
コウモリが引き起こす最大の問題は、その糞尿に付着した病原菌による健康被害です。特に以下の病気に注意が必要です。
- ヒストプラスマ症
コウモリの糞にはヒストプラスマ菌が含まれている場合があり、これを吸い込むと肺に感染症を引き起こすリスクがあります。症状は、咳や呼吸困難などで、重症化すると入院が必要になることもあります。 - ニパウイルス
コウモリはニパウイルスの自然宿主であり、このウイルスが人に感染すると、致命的な脳炎を引き起こす可能性があります。 - リッサウイルス
コウモリが噛んだり引っ掻いたりした際に、リッサウイルスが感染することがあり、発症すると狂犬病と類似した症状が現れます。
これらの病気を防ぐためにも、コウモリの駆除作業や糞の清掃を行う際には必ずマスクや手袋を着用し、消毒を徹底しましょう。
5. 忌避剤の効果と正しい使い方
忌避剤は、コウモリを追い出し、再侵入を防ぐための強力なツールですが、適切に使用しないと効果が半減してしまいます。以下のポイントを押さえて、正しく使用しましょう。
- スプレータイプ
狭い場所に住み着いたコウモリには、即効性のあるスプレータイプが最適です。換気口やシャッターの隙間に噴射し、コウモリを追い出します。ただし、効果が短時間で切れるため、使用後すぐに侵入経路をふさぐ必要があります。 - ジェルタイプ
長期的な対策にはジェルタイプがおすすめです。効果が1年以上続くため、一度設置すれば長期間安心して過ごせます。 - 燻煙タイプ
広範囲に効果を発揮する燻煙タイプは、屋根裏や広い空間に住み着いたコウモリに最適です。煙が巣穴まで届き、コウモリを強制的に追い出します。
6. 専門業者に依頼する際の注意点
自分で駆除するのが難しい場合や、被害が広範囲に及ぶ場合は、専門の駆除業者に依頼するのが賢明です。業者を選ぶ際には、以下の点を確認しましょう。
- 無料見積もりと現地調査を実施しているか
無料の見積もりや調査を提供している業者を選ぶと安心です。 - 作業内容と料金が明確に提示されているか
見積もりの際、具体的な作業内容と料金が明記されているかを確認しましょう。不明瞭な業者は避けるべきです。 - 作業後の保証があるか
駆除後に再発した場合の保証がある業者を選ぶと、アフターケアも安心です。
7. コウモリ駆除の適切な時期とタイミング
コウモリ駆除に最も適した時期は、春(4月~5月)と秋(9月~10月)です。この時期はコウモリが繁殖期や冬眠期に入っておらず、比較的追い出しやすいためです。繁殖期である夏や、冬眠中の冬は駆除が困難になるため、できるだけ避けましょう。